視聴率は苦戦中ですが、大河ドラマ「いだてん」を途中から楽しむ方法

視聴率は苦戦中ですが、大河ドラマ「いだてん」を途中から楽しむ方法

前回もNHK大河ドラマ「いだてん」について書きましたが、今回もまたこのネタ。

2月24日の第8話放送も視聴率が9%台に終わり、ネットでは「打ち切り」などという物騒なキーワードもあります。
鳴り物入りでスタートした「いだてん」。

私なりに低空飛行でスタートした理由を、分析した記事は前回書いていますが、あらためて現時点でのデータをおさらいと、あと私は「いだてん」。
1話からずっと視聴しているので、「打ち切り」などにならないため、応援の意味をこめて今回、新たに記事を書きたいと思います。

そもそもそんなに視聴率悪いの?

まず単純に前作「西郷どん」との、第8話までの視聴率を比べてみたいと思います。

「西郷どん」視聴率推移表

放送回 タイトル 視聴率
第1話 薩摩のやっせんぼ 15.4%
第2話 立派なお侍 15.4%
第3話 子どもは国の宝 14.2%
第4話 新しき藩主 14.8%
第5話 相撲じゃ!相撲じゃ! 15.5%
第6話 謎の漂流者 15.1%
第7話 背中の母 14.3%
第8話 不吉な嫁 14.2%

「いだてん」視聴率推移表

放送回 タイトル 視聴率
第1話 夜明け前 15.5%
第2話 坊っちゃん 12.0%
第3話 冒険世界 13.2%
第4話 小便小僧 11.6%
第5話 雨ニモマケズ 10.2%
第6話 お江戸日本橋 9.9%
第7話 おかしな二人 9.5%
第8話 敵は幾万 9.3%

「西郷どん」は後半で数字を落としましたが、序盤は結構頑張っていたことが2作を比べると分かりますね。
ちなみに上記の表に含まれていない第9話では「江戸のヒー様」というタイトルで、西郷に大きく影響を与える重要人物・後の徳川慶喜が登場し、第8話から視聴率は微増し14.8%でした。

一方の「いだてん」。
遂に3話続けての視聴率9%台。
しかもどんどん数字が悪化しているということで、民放と異なりスポンサーはついていないといえ、やはり制作陣として最悪のことが頭によぎっているのは、想像に難しくありません。

ちなみに長い大河ドラマの歴史で、一度だけ打ち切りと言いますか、半年で終了させ、後半は別の大河ドラマを放送した時期がありました。
それは1993年で、少年隊の東山紀之さん主演、沖縄を扱った「琉球の風」を放送も、これが上手く軌道に乗らず6月で放送終了。
7月から、東北に舞台を変え「奥州藤原氏」を厚かった扱った「炎立つ」にチェンジした事実があります。

さすがにこの1桁続き。
「順調」に進んでしまうと第9話では8%台も現実味を帯びているだけに、確かに視聴率は危機的に危ない水準だと思います。

宮藤官九郎作品はじっかり鑑賞するもの

私もそこまで「演劇オタク」というほど知識もありませんが、多少舞台などを観にいったりもします。
一番よく見る劇団は古田新太さん等が所属する「劇団☆新感線」。

この新感線にも宮藤官九郎さんこと、クドカンはいくつか脚本を提供。
その中で代表的なものでシェイクスピアの名作「マクベス」をアレンジした「メタルマクベス」という作品があります。


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メタルマクベスも序盤は、王に戦況報告するために、新感線正規メンバーではないものの、お馴染みのロックシンガー冠 徹弥さん扮する兵士が、ヘビメタ調で歌いまくるシーンや、主役のマクベス・・・というよりランダムスター(ご覧頂くと分かりますが、原作に忠実な面もありますが、登場人物はギター等のメーカー名に置き換わっています。)が森で魔女に出会い、魔女の怪しげな歌に迷わされてしまう・・・など「わけわからん」展開がしばらく続きます。
しかし、その「ドタバタ」が永遠に続くわけでなく、途中からはシリアスな場面も増え、思わず涙するようなシーンも多々出てきます。

そういう意味では展開として「吉本新喜劇」なんかも近いのかもしれませんね。
最初は「つかみ」でお約束のドタバタばかりですが、中盤はしっかりとお芝居しますからね。

今回の「いだてん」も初回に早速、主役の金栗 四三がオリンピック予選で優勝したり、かと思えばストックホルムオリンピックに短距離ランナーとして、金栗と共に出場した三島 弥彦が、自らが所属していた「天狗倶楽部」でどんちゃん騒ぎを繰り広げる。
また、かと思えば、同郷の春野 スヤと田舎を走り、歌い続けるかと思えば、落語家・古今亭志ん生が物語の「MC」として重要な役を務めるも、「似ても似つかない」と言いますか(笑)、若き古今亭志ん生を森山 未來さんが。
老いた・・・と言えば失礼ですが、後半をビートたけしさんが演じると、すべてが「わけのわからん」展開で進んでいきました。

ここで「もう見ない・・・」と決めた方も多かったと思いますが、さきほどお話したように、クドカン作品。
ようやく第7話あたりから「落ち着いた展開」に場面チェンジ。

前回の第9話では、生田 斗真さん演じる三島 弥彦が、女西郷と恐れられた実の母。白石 加代子さんが演じる三島 和歌子に「日の丸」が刺繍されたユニフォームを手渡されるシーンなど、思わずグッとくるシーンがありました。
また主役の中村 勘九郎さん演じる金栗 四三も、中村 獅童さんが演じる兄・金栗 実次と東京で再会し、再び熊本へ帰る為、別れる際に放った言葉など「魅せるシーン」が満載だったと思います。

ずっと視聴してきたものとして、視聴率とは反比例し、いよいよ盛り上がってきたな!
という感じがしています。

途中から参加で「いだてん」を楽しむために

私は、途中からの視聴でも全く問題なく楽しめるドラマだと思います。
肩肘張るようなテーマでも、タッチでもないですし、「前半舞台に遅刻したけど、ここから楽しむぞ!」ぐらいの感覚で十分だと思っています。

予備知識として、時は西郷隆盛が西南戦争で散った1877年から、30年ほど後の話。
日本人が初めてオリンピックに挑戦した時代を描いています。

1912年にストックホルムオリンピック(ストックホルムはスウェーデンの首都)にマラソンランナーとして参加した金栗 四三が主役。
同じくそのオリンピックに短距離ランナーとして参加した三島 弥彦が重要な役を演じています。

金栗は後、正月の名物である「箱根駅伝」の開催に尽力された人物。
三島は東大を卒業し、晩年は兄である三島 彌太郎が頭取を務めた横浜正金銀行に入り、スポーツからは身を引き銀行マンとして生涯を送った人物です。

二人の全く境遇に生れ育った若者が、日本のスポーツ発展の第一歩を踏み出したわけですが、このドラマでは「熱血スポ根」でも「青春ラブコメ」でもなく、独特のクドカンタッチで軽快に描かれています。

いつもの大河ドラマだと、エピローグは分かっているのですが、今回は本当にわかりません。
また途中からストックホルム編が終わり、初めて東京オリンピック招致に成功した話に飛ぶそうなので、それもどんな展開で「強引」に場面チェンジをするのかも楽しみです。

芝居上手な本格的な役者がズラリ

前半のストックホルム編では、歌舞伎の中村 勘九郎さん、中村 獅童さんに、実力派・役所広司さんや、他にも特に舞台で活躍されている、演技の実力派役者さんがズラリと並んでいるので、芝居には抜群の安定感があります。
最近の傾向として、はっきり言えば安易にアイドルや、いわゆるイケメン投入で若い女性層を獲得しようとして、それ自体が上手くいっていなかったので、今回のようにしっかりと芝居で見せることができるキャスティングは見ごたえが十分だと思います。

初めは見てたんだけど・・・
という方なら、大筋の話も分かりやすいと思いますし、もう一度戻ってこられてみては?

音楽に例えれば、わかりやすいAメロ、Bメロ、そしてポップでメロディアスなサビが入ってくる構成の、わかりやすい「シングルカット」された楽曲でなく、アルバム丸一枚。
じっくり何度も何度も聞いていると、徐々に味わいが深まってきて、気が付けばハマっている。
そういうタイプの大河ドラマだと思います。

私も城巡りサイトを運営するなど、歴史ファンを自認しています。

確かに当初、現代劇になったことに批判的なことを私も言っていましたが、たまにはこういった戦国時代や、幕末のヒーローを扱ったわけでない人物のドラマも面白いと思い始めています。

NHKも大きなチャレンジを試みた「いだてん」。
中盤から後半への盛り返しに、少しでも寄与できればと思い、引き続き「いだてん」についても記事を書いていきたいと思います。